マスタークロノメーターとは?その特徴と凄さを解説

投稿者: | 2022年10月25日

時計には様々な認定規格がありますが、その中でも特に注目されているのが「マスタークロノメーター」です。

マスタークロノメーターは超対磁性能とクロノメーター精度を認定する規格であり、現在オメガとチューダーの2社がマスタークロノメーター認定を受けたモデルを発売しています。

この記事ではマスタークロノメーターがどのような規格なのか?どのような特徴があるのかについて解説いたします。

デザインだけでなく、ムーブメントの性能も重視したいという方にご一読いただきたい内容です。

マスタークロノメーターは「C.O.S.C.」と「METAS」のテストをクリアした超耐磁性のムーブメントに与えられる称号のことです。

オメガとMETAS(スイス連邦計量・認定局)によって、時計の新しい認定制度として2014年に誕生し、認定を受けた個体は超耐磁性と高精度を兼ね備えるムーブメントであることが証明されます。

オメガ コーアクシャル機構

マスタークロノメーターを理解するにあたり、コーアクシャル機構について知ることが重要です。

コーアクシャル機構とはオメガが採用しているハイテク脱進機のことを指します。従来のムーブメントと異なる構造を持つことが特徴で、アンクルとガンギ車、ガンギカナを二重共軸車にすることで「摩擦の軽減」に成功しています。

コーアクシャル機構最大のメリットは、なんと言ってもオーバーホール周期が短くなることです。

通常機械式時計は3年~5年に一度オーバーホール(分解掃除)をする必要があります。これは時計を使用し続けることにより、油が切れてパーツが摩耗してしまうからです。

しかし、コーアクシャルムーブメントは独自の構造設計に加え、ひげゼンマイとテンプに非磁性のシリコン製パーツを採用することにより、他社のムーブメントよりも遥かに壊れにくいムーブメントに仕上がっています。

摩耗を最小限に抑える設計となっていることから、8~10年に一度のオーバーホールで時計を維持することができ、一般的なムーブメントよりもランニングコストがかかりません。

長く使えば使うほど得をする。それがコーアクシャル機構の特徴であり、強みです。

オメガ マスターコーアクシャル

また、コーアクシャル機構には上位機構として「マスターコーアクシャル」が存在します。こちらは耐磁性能を持たせたコーアクシャル脱進機のことを指し、ムーブメントを覆うように非磁性素材があしらわれています。

それに伴い耐磁性能が大幅に上昇しており、1000ガウスの耐磁性能をもつコーアクシャルに対し、マスターコーアクシャルの耐磁性能は15000ガウス。およそ15倍の耐磁性能を誇ります。

「摩耗が少なく壊れにくい」という特徴を持つコーアクシャル脱進機に超耐磁性能が加わり、オメガを代表とする機構として人気を博しています。

話をマスタークロノメーターに戻しましょう。

マスタークロノメーターはCOSCクロノメーターのテストを通過した個体に対して行う耐磁性能や防水性能、精度に対するテストですが、そもそもこの規格自体がマスターコーアクシャル用に作られた新たな認定規格だったりします。

マスターコーアクシャルの知名度を上げるために「C.O.S.C.」や「METAS」を巻き込み、独自の規格を制定しました。

「マスターコーアクシャル」は機構、「マスタークロノメーター」は規格であることがややこしい点ではありますが、マスタークロノメーターの名を冠したモデルはマスターコーアクシャルのスペックを持ち、かつクロノメーターであることが証明されています。

なお、マスタークロノメーターをマスターコーアクシャルの上位規格として覚えている方も多いですが、厳密にはマスタークロノメーターは規格のことを指すので、マスタークロノメーターという機構が存在するわけではありません。

マスタークロノメーターの厳格な検査内容
マスタークロノメーターはC.O.S.C.のクロノメーター認定をパスした個体に対し、スイス連邦計量・認定局(METAS)にて実施される厳密な8つのテストをクリアした個体だけが認められる称号です。

C.O.S.C.では平均日差、平均日較差、最大日較差、垂直方向と水平方向の姿勢差といった精度に関する認定を実施。それをパスした個体がMETASにて精度、耐水性、耐衝撃性、耐久性、耐磁性に関する8つのテストを受け、見事突破した個体のみがマスタークロノメーターの称号を得ます。

なお、METASにおける8つの基準は以下の通りです。

■15,000ガウスの磁場に触れた際のムーブメントの機能

■15,000ガウスの磁場に触れた際の時計の機能

■15,000ガウスの磁場に触れた際の一日平均の精度誤差

■時計の平均日差

■パワーリザーブ

■6姿勢における精度誤差

■パワーリザーブ残量が33%と100%の際の時計の精度誤差

■防水性能

これら全ての基準をクリアした時計だけがマスタークロノメーターの称号を得て、時計に搭載されます。

通常のクロノメーター認定と比較して最も異なるのは、ムーブメント単体ではなく、時計の状態になった製品をテストすること。

COSCではムーヴメント単体の精度をテストしますが、マスター クロノメーター認定では時計そのものを10日間かけて厳密に検査します。

摩耗が少なく壊れにくい設計。圧倒的な耐磁性能。そして業界トップクラスの精度。

マスタークロノメーターの名を冠したモデルは、三拍子揃った現代における最強ムーブメントといっても過言ではありません。

オメガ マスタークロノメーター

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繊細な構造と緻密な設計によって組み上げられる激安ブランド高級時計は磁石に影響されやすく、スマートフォン(スピーカー部)や、バックの留め具等の強力な磁石と接することで磁気帯びを発生させてしまいます。

しかし、15000ガウスの耐磁性を誇るマスタークロノメーターは、ムーブメントをシリコンといった軟磁性体で覆い隠すことで、磁力の影響を受けにくい設計となっており、ありとあらゆる磁力から時計を守ってくれます。

その耐磁性能は強い磁石と電磁波を使うMRI検査にも耐えうるほどであり、マスタークロノメーターを冠するモデルであれば、もはや磁力を気にする必要はありません。

素晴らしいの一言である耐磁性能に加え、C.O.S.C.のテストをクリアした精度が備えられているのですから、マスタークロノメーターの凄さは誰が見ても明らかだと言えます。

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