2022年、10月も終わりに差し掛かる頃、オメガが新しいコレクションを発表しました。
その一つが、オメガには珍しいハイコンプリケーションウォッチ。ミニッツリピーター・スプリットセコンドクロノグラフの併載モデルです。
さらに同社のエレガンスなコレクション「デ・ヴィル プレステージ」からも最新世代が登場するなど、多彩な新作モデルが市場を賑わせた2022年を、オメガが締めくくるにふさわしい面々となっております。
この記事では、オメガの最新モデルについて、それぞれをご紹介いたします!
オメガの代表作は、いずれも大変実用性に優れており、デイリーユースするのに最適です。
とりわけ近年はマスタークロノメーター(詳細は後述)が標準装備となりつつあり、他の追随を許さない高性能とユーザビリティで人気を博してきました。
オメガはこのように、実用時計といったイメージが強かったため、ハイコンプリケーションウォッチを製造していることはあまり知られていません。
しかしながら2020年、オメガがマスタクロノメーター認定センタートゥールビヨンを発表したことで、ハイコンプリケーションウォッチ製造もまた並々ならぬ実力を有していることを改めて認識させられたものです。
そして2022年10月。
今度はミニッツリピーター×スプリットセコンドクロノグラフ(ラトラパンテ)を併載させた超絶コンプリケーションを、素晴らしい外装技術とともに打ち出したのだから、驚かされた諸氏も多いのではないでしょうか。その名は「クロノチャイム」。
なお、当新作に搭載される新しい手巻きムーブメントCal.1932は、オメガ自身が「オメガが制作した中で最も複雑」と称します。
クロノチャイムは、ムーブメント・外装含めて、17もの特許を必要とした、とのこと!
詳細を解説いたします。
オメガ史上最も複雑なムーブメントCal.1932
オメガ 2022年新作 クロノチャイム スピードマスター
出典:https://www.omegawatches.jp/
「オメガが制作した中で最も複雑」とまで言わしめるのは、いったいどのようなムーブメントなのでしょうか。
この度ローンチされた手巻きCal.1932は、既存の基幹ムーブメントをベースに複雑機構を載せた、というわけではありません。
全く新しいムーブメントとなり、同じスウォッチグループのブランパンによる協力と6年に渡る開発期間のもと、製造されました。
特筆すべき点は、ミニッツリピーター・スプリットセコンドクロノグラフがムーブメントと一体化していること。
そのためミニッツリピーターがクロノグラフの経過時間を「鳴らす」という、驚くべき機構を備えることとなりました。ケース直径45mm×厚さ17.3mmというコンパクトな実用サイズに収まっていることも素晴らしいの一言ですね(一般的に、機能が複雑になればなるほどムーブメントはボリュームが出る)。
ちなみにミニッツリピーターとは、「鐘を鳴らして時刻を告げる」機能です。
教会の「鐘」などに代表されるように、時刻を音で知らせる手法は古くから用いられてきました。懐中時計サイズになったのが16世紀頃からで、18世紀に入り、天才時計師アブラアン=ルイ・ブレゲらの尽力によって実用化。そして1892年に、初めて腕時計への搭載を成し遂げたのがルイ・ブラン&フィルズ社、すなわち現在のオメガとなります。
出典:https://www.omegawatches.jp/
現在は加工技術の発達で、オメガ コピーコンプリケーションも多くのブランドが手掛けるようになりました。
しかしながらミニッツリピーターは依然として難易度が高く、製造するブランドも限られます。リピーター機能にはゴング(鐘)とハンマー大小一つずつ搭載しており、それぞれの回数や音程によって時刻を判断させているがゆえ、腕時計サイズに収めるのが大変なこと。また時計の気密性を保ちつつもある程度の音量や美しさで鐘を鳴らすことが求められることなどが、難しさの背景です。
オメガでは、このミニッツリピーターで、クロノグラフの計測時間を告げるというのだから、いかに成し遂げた偉業の大きさがおわかり頂けるのではないでしょうか。
なお、分は低音、10秒の位は二度打ち、1秒の位は高音によって計測時刻を知らせてくれます。